磯田道史さん(右)と林真理子さん(撮影/写真部・加藤夏子)
磯田道史さん(右)と林真理子さん(撮影/写真部・加藤夏子)

 話題の映画「殿、利息でござる!」の原作『穀田屋十三郎』の著者で、歴史学者の磯田道史さんが、林真理子さんとの対談で学生時代に図書館で倒れて救急車で運ばれたという、驚きのエピソードを語ってくれました。

*  *  *
林:先生は子どものときに古文書を見て、それ以来とりつかれたんでしょう?

磯田:そうなんですよ。小学生のときに祖母からうちに代々伝わる古文書を渡されて、中学時代からなんとか読みたいと思って、高1のときには古文書解読用辞書を手に入れて。それからしばらく、学校の勉強はしませんでした。

林:ほォー。先生のご先祖は岡山で家老でしたよね。そういうおうちって古文書が残っているんですね。

磯田:全部は残してなくて、殿様からもらったものとか、履歴書類とかですね。洪水でだいぶ失われたみたいですが、箱一つ分ぐらいは残っていて、助かりました。

林:少年のころに古文書を読みたいと思うって、すごいですね。

磯田:だって自分の家がなぜ岡山にあるのか、明治維新や忠臣蔵の討ち入りのころに何をしていたのかが、そこに書いてあるんですよ。読まずには寝起きできないと思いましたね。僕は知りたいことをひたすら調べる人間でして。算数を覚えたのは小学校の横にあった古墳の土の量を計算したかったからですし、苦手だった英語も、歴史や考古学についての英語の原著を読み始めてから、急にできるようになりました。

林:ほんとですか。知りたいと思うと、それに突き動かされて勉強しちゃうんですね。

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