川内有緒さん(右)、イオさん夫妻(撮影/写真部・岸本絢)
川内有緒さん(右)、イオさん夫妻(撮影/写真部・岸本絢)

 現在、エディター&ライターとして活躍する夫、川内イオさんとノンフィクション作家の妻、川内有緒(ありお)さん夫婦。パリの国連勤務という輝かしいキャリアを持ちながら、退職してノンフィクション作家の道を選んだ妻と、サッカーが見たくて会社を辞めフリーライターになって世界一周に出た夫。自由な2人は結婚後も別々に暮らしていたが、転機は結婚2年目の10年に訪れた。

*  *  *

妻:私はパリで出会ったおもしろい人たちに話を聞いて、コツコツ原稿を書いていた。それを日本で出版できることになったんです。それがひとつの区切りでした。国連職員のままでいたら作家活動はできない。辞めどきだなと。

夫:僕もちょうど10年のワールドカップが終わって、一区切りついていた。

妻:そろそろ落ち着いて、一緒に日本で暮らすのもいいかなと。みんなに「一緒に住んだら、絶対うまくいかないよ」って言われましたけど、大丈夫だったね。

夫:俺は大丈夫だと思ってたよ。

――帰国後、妻はノンフィクション作家として活動を始める。夫婦で同じ仕事をするようになったが──。

妻:よく「お互いの仕事に嫉妬するとかあるんですか?」と聞かれるんですけど、私たち本当にそれはないんですよね。

夫:なぜかというと、僕が彼女の最初のファンだから。全日空の機内誌「翼の王国」に彼女が書いたシルクロードの寄稿文を読んで「この人みたいになりたい」って思ったんですから。

妻:照れるね(笑)。

夫:いつもお互いに原稿見せ合って「ここはこうしたら?」なども言い合います。僕は彼女の原稿を一番初めに読めてラッキー!です。実際おもしろいし。

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