北原みのり「『女性ならではの悩み』の裏側」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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北原みのり「『女性ならではの悩み』の裏側」

連載「ニッポン スッポンポンNEO」

避難生活を送る女性たちが安心して過ごせるように…(※イメージ)

避難生活を送る女性たちが安心して過ごせるように…(※イメージ)

 人々が最も痛み苦しんでいる最中、残念ながら、そのような時だからこそ、弱っている者にふるわれる暴力が加速することもある。特に、女性や子供に向けられる性暴力は、被災者どうしが一致団結することを求められる中で、告発されることなく葬られてしまう。阪神・淡路大震災の時も、東日本大震災の時も、性暴力は起きた。小さな子供を抱えた女性が食事の配給の列に並べず、代わりに並んでくれた近所の男性が、夜になると当然という顔で布団に入ってきた。幼い子に性器を見せたがる男性もいた。幼女の着替えを注視する男性もいた。女性団体による調査報告では、そのような告発を数多く目にする。それでも多くの被害者が明日を生きるために口を噤み、加害者自身が「自然な性欲」として加害意識が低く、目撃者も空気を乱さぬように見ぬふりをしてきた。残念ながら、人は弱い。だからこそ、こういう暴力が起きるという事実を事実として、知らなくてはいけない。

 行政の方にお願いしたい。すぐにプライバシーを確保できる生活空間の提供と、性暴力に対応できる専門家を派遣してほしい。弱っている状況で、性的に貶められることは、人に深い痛みとして残る。知識と教育と環境で避けられることは避け、今、多くの人が集う空間を、誰もが安心して過ごせるよう、配慮してほしい。

週刊朝日 2016年5月6-13日号


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北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表

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