子どもたちの未来に向けたマツコ・デラックスさん (c)朝日新聞社
子どもたちの未来に向けたマツコ・デラックスさん (c)朝日新聞社

「子どもにかかるお金は大丈夫だよって、ちゃんと国が責任もって(略)育ててあげますよ、という制度がないと、安心できない」

 お茶の間なじみのご意見番のマツコ・デラックスさんが2月、テレビで口にした持論がちょっとした話題になった。

 参院選を控え、安倍首相が今春、開いた「国際金融経済分析会合」で財政出動も論議された。だが、頭のいいセンセイ方がまとめたのは「高齢者3万円給付金」……。

 投票所に行く層を狙い撃ちにした票目当てがバレバレである。税金を投じるならば、九州や東北の被災地復旧に、そして未来に投資せよ、だ。

 おもしろい提案がある。実は冒頭のマツコさんの発言を受け、実際に無償化したらどうなるかを試算した「マツコ案」があるのだ。

 独自に取り組んだのは、京都大学大学院人間・環境学研究科の柴田悠・准教授。この試算ではさらに踏み込み、保育から大学まで(0~22歳)の保育・教育費と医療費を無償化した場合の費用を検討した。柴田氏は言う。

「実は子ども1人当たりにかける子育て支援額(対1人当たりGDP比)は先進諸国で比べても日本はずっと低い。『家計任せ』だったということです。半面、高齢者福祉は先進国並みまで大幅に改善しました。これは『票』かもしれません。少子化に苦しんだ西欧諸国を参考にすると、子育て支援は経済的にも奏功している。中でも『日本死ね』で話題の保育サービスの強化は最も波及効果が大きい」

 とくに参考になるのはフランスだ。柴田氏によると、出生率に異変が起きたのはフランス革命(1789年)以降、避妊や出産制限の動きもあり、出生率が低下し始めたという。

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