「豪快な人で、東京にいる人の多さに驚いて『東京にはゼニが転がっている』なんて言っていました。経営者として先を見る目に優れていて、経済情勢の変化も半年以上前にピタリと当てて、出店計画を立てていた。一方で、社員や出入り業者には温情あふれる魅力的な人で、王将は加藤教信者の集まりのようでした」

 朝雄氏とA氏が知り合ったのは、それよりだいぶ後のことだ。王将は郊外大型店舗を次々に展開するなか、なかには役所からの許認可が遅れたり、新規開店の日が近づいても、水道が通っていなかったりしたこともあった。そんなときに奔走したのが会社経営者のA氏だった。

「加藤(朝雄)社長は、私にAさんについて紹介したとき『若くて見どころがある』と言っていました。彼に許認可の仕事を頼むと、普通より早く許可をもらってきた。それで加藤社長は、Aさんに相場以上の謝礼を渡していました。額は100万円単位です。私が『高いのではないですか』と言っても、加藤社長は『仕事のスピードを考えたら安いですよ』と言っていました」(望月氏)。(本誌取材班)

週刊朝日 2016年4月22日号より抜粋