ロンドン五輪の表彰式での“なでしこジャパン” (c)朝日新聞社
ロンドン五輪の表彰式での“なでしこジャパン” (c)朝日新聞社

 リオ五輪開幕まで4カ月を切った。アスリートにとっては文字どおり命を懸けた勝負の場だが、バックアップするスポーツメーカーにとっても4年に一度の戦いの舞台となる。2020年に開催される東京五輪を巡り、業界勢力に“異変”が起こっている。

 国内スポーツメーカーが総じて狙うのが、夏季五輪の表彰台ウェアだ。同関係者は語る。

「IOC(国際オリンピック委員会)が商業化に踏み切ったソウル五輪以降、国産メーカーであるミズノ、アシックス、デサントの3社が、3品種ずつ9アイテムを日本代表選手団に提供してきました」

 3社は、表彰台ウェア、ウインドブレーカー、ポロシャツ、Tシャツ、シューズ、ハーフパンツなどを日本選手団に贈ってきた。その中でも日本人選手が表彰台で首にメダルを掛けられる折に着用するジャージーこそ、メディアの露出が高く、世界へのアピールになる、と国内メーカーは考えるそうだ。有力スポーツメーカー社員は言う。

「長野五輪は30億円弱でミズノが競り勝ちましたが、出場参加国が80くらいですし、夏の五輪とはマーケットサイズが違います。4年周期のなかで、ロンドン五輪はミズノ、2010年の広州アジア大会はアシックス、同年冬のバンクーバーはデサントといった形で、3社で分配するんです。JOC(日本オリンピック委員会)に対する貢献、JOCの行事に対する貢献を鑑み、この国産3社が選ばれてきました」

 同3社は、メインとなる五輪のほかにアジア大会、ユニバーシアードでしのぎを削るが、スポーツメーカーにとって夏季五輪以上に価値のある大会はない。

 夏季五輪を担当できなかった社が、アジア大会やユニバーシアードの表彰台ウェアに回る。ロンドン五輪で躍進した澤穂希らサッカー女子代表がアディダスのユニホームでプレーしながら、表彰台にはミズノのジャージーで登場した姿をご記憶の方も多いだろう。

 ミズノは、北京、ロンドンと連続して五輪表彰台ウェアを獲得。アトランタ、シドニーもその座を射止め、国内では確固たる強さを見せていた。

 だが、20年東京五輪を巡ってスポーツ業界に大きな“異変”があった。

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