少しでも気に入らないと、とにかく批判をぶつけ、謝罪と撤回を求める──。攻撃の連鎖を呼ぶ「炎上」は、ネット上にあふれかえる。炎上の火の子をかぶるのは著名人だけではない。

 都内在住の小林貴子さん(35)。2人の子どもを持つワーキングマザーだ。2月に注目を集めた匿名投稿「保育園落ちた日本死ね!!!」から始まった、待機児童問題に関する議論の中で、何気なく発した「安倍さんも頑張ってるのに、ここまで叩かれて可哀そう」というツイートがきっかけで、袋叩きにされた。

「こんな母親がいるからダメなんだ」と、ものの15分で100件を超える批判コメントが殺到。

「“バカ母親死ね”という言葉とともに、ツイートがどんどん拡散され、半日過ぎても収まらない。行き場のない怒りと恐怖で、アカウントごと削除しました」

 こうした炎上に参加するのは一体どんな人なのか。興味深いリポートがある。「高収入の男性ほど、炎上に参加する確率が高い」「ネット上で嫌な思いをしたことのある人ほど、炎上に参加しがち」など、その内容は意外性に富む。

 分析をした国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一助教は話す。

「約2万人を対象に行った調査の中で、炎上に参加したことがあると答えた人は1.1%。多くの人が参加しているように見える炎上は、ごく一部の人によって引き起こされていた。つまり、ネット上で罵声の嵐に見舞われても、過剰に反応する必要はないのです」

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