「社内では多くの社員が辞任の撤回を求めていますが、それ以上に多いのがFCオーナーからの問い合わせ。古くからのオーナーは鈴木会長にほれ込んで加盟した人も多いだけに、『会長が辞めるなら、自分もFCを辞める』と言い出す人も出かねない」(同)

 カリスマが去った後も7&iは好調を維持できるのか? 流通業界に精通するプリモリサーチジャパンの鈴木孝之代表は「大黒柱のコンビニ事業でローソン、ファミリーマートの猛追を受けることになりかねない」と指摘する。

「調剤薬局やドラッグストアとの共同出店など、他のコンビニチェーンが手を替え品を替えて利用者のすそ野を拡大しているのに対して、セブン‐イレブンは圧倒的な商品開発力で利用者を引き付けてきた。『金の食パン』などが典型です。その商品開発力を支えてきたのは、完璧主義者の鈴木会長でした。常々言われてきたように、7&iには後継者が育っていない。その点は、事業部の子会社化を進めて経営幹部の育成環境を整えてきたイオングループに大きく後れをとっている。それだけに、中長期的には成長失速が予想されます」

 禍根を残す引退劇となったことは間違いない。

週刊朝日 2016年4月22日号より抜粋