「会社全体として見たときに(井阪社長は)物足りなさがあった。それに、セブン‐イレブンの社長は最長で7年という任期でやってきた」(鈴木会長)

 井阪社長に内示を出したのは2月15日。当初は素直に退任を了承したという。ところがその2日後に豹変。

「その期間(社長就任後の7年間)に起こったことは全部自分がやったという言い方をした」(同)

 その場に居合わせた村田社長は「井阪氏は大変興奮していた。なぜ退任しなければならないのかと(中略)私の意見も聞かずに帰っていった」と付け加えた。

 鈴木・井阪両氏の関係がこじれたことで動いたのが顧問の後藤氏。

「私は少し気がかりだったので、井阪君のお父さんに連絡して自宅を訪問した。野村證券を築き上げた人で、野村のスピリットで応えると思った」

 なぜ突然、井阪社長の父親が登場するのか? 後藤氏の言葉を、全国紙経済部の記者が補足する。

「井阪社長の父・健一氏は野村證券副社長を経て、東証副理事長まで務めた大物。72年のイトーヨーカ堂上場時には野村側の窓口役を務めたと言われており、息子がそのグループ会社セブン―イレブンの社長就任を打診された際には涙を流して喜んだのは有名な話。そんな、鈴木会長に恩義を感じている父親を丸め込めれば、井阪社長も折れるという狙いがあったのは明らか」

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