近畿大学(撮影/楠本涼)
近畿大学(撮影/楠本涼)

 2016年の大学入試で近畿大学が志願者数1位に輝いた。2位は明治大学。東西のマンモス校の人気の秘密を探った。

「近畿大人気が止まらない感じですね」

 そう話すのは大学通信ゼネラルマネージャーの安田賢治さん。近大の一般入試の志願者数は、2012年の7万9744人から右肩上がりで、今年は11万9915人に達した。

 志願者数の増減には、大学の取り組みや、景気、学部構成などの影響が大きい。今年2位の明治大が、11年連続トップに君臨していた早稲田大を抜いて日本一になったのが10年。その要因の一つが、07年度に始めた「全学部統一入学試験」だった。同入試は、同じ日に同じ問題を受験して、複数学部を併願できるものだ。

「受験機会が増え、その前年より志願者が大きく伸びました。この入試方式の浸透が、日本一につながったのです」(安田さん)

 明大首位奪取のもう一つの要因が、08年秋のリーマンショックだ。景気の悪化によって受験生の地元志向、国立志向や安全志向が強くなり、私大の雄、早大のいわゆる“記念受験”が減ったとみられている。

 不況は同時に、就職に強い理系学部の人気が高まる現象を招く。08年から昨年まで理系人気、文系不人気の「理高文低」が続き、文系学部が多い私大は志願者数を軒並み減らした。人気の明大でも微減した。

 そんななか、一昨年、志願者数トップに躍り出たのが理系学部が多い近大だった。14学部のうち、医、薬、農、建築、工、理工など8学部が理系で占められている。定員も多いため志願者を集めた。

 こうした理高文低の追い風に加え、近大の志願者数増加の背景には、さまざまな要因が挙げられる。

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