「自分がどんな選手になりたいのか、そのために何をすべきなのかを考え、逆算して鍛えていける選手が多い。自主性が僕らの強みだと思います」

 小3で野球を始め、早慶戦に憧れていたという重田主将は、観客数も多く、歴史もある対早大戦に特別な思いがあるという。「今年こそ雪辱を果たし、有終の美を飾りたいです」と決意を語ってくれた。

 続いてラグビーを見ていこう。ここでも早大の優位が目立つ。昨年度は同率4位だったが、11年以降、ラグビーの関東大学対抗戦のリーグ戦で早大が慶大の後塵を拝したことはない。日本代表選手も88人を輩出した。五郎丸歩選手は08年の卒業生だ。02年度の主将で、今季から監督に就任した山下大悟さんは、

「社会のリーダーになる人間を早稲田のラグビー部として育成していかなければいけない、と思っています」

 と語る。山下監督が学生時代にまず学んだのは、プレッシャーを力にかえる大切さだったという。「6万人もの観客の前で自分の力を発揮しなければならない。高校までの取り組み方は生半可なものだったと思い知らされました」。

 それが早大の伝統だ。早慶戦のみならず、早明戦というビッグゲームもある。

 慶大はどう対抗するか。

「早慶戦では僕が1年のときに負け、2年で引き分け、3年で負けでしたから、今年はどうしても勝ちたい」

 鈴木達哉主将は力を込める。慶大ラグビー部(正式名・慶應義塾體育會蹴球部)は日本初のラグビークラブとして1899年に誕生した。黒黄のユニホームに身を包んだ“タイガー軍団”にとって、その伝統を守ることも大きな使命とされる。

 名将と謳われた故上田昭夫元監督はかつて選手育成について、こう述べた。

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