現在はスーパーラグビー・レッズ(豪州)で活躍する五郎丸歩(左)、独へ渡った武藤嘉紀(右) (c)朝日新聞社
現在はスーパーラグビー・レッズ(豪州)で活躍する五郎丸歩(左)、独へ渡った武藤嘉紀(右) (c)朝日新聞社

 早慶戦。この名を聞くだけで血が騒ぐという読者も少なくないのでは? ラグビー日本代表の五郎丸歩(早大)、サッカー日本代表の武藤嘉紀(慶大)ら両大体育会OBの活躍も話題だ。さて、近年の早慶戦の実態はどうだろう。人気スポーツの野球、ラグビー、サッカーを比較した。

 早大野球部には毎年スポーツ推薦で4人の超高校級選手が入る。彼らを軸に、日常の練習を重視する髙橋広監督の下でチームは鍛えられていく。

 選手層の厚さが早大の強みだ。OBに目を向けても、早大はメジャーリーガー1人と、18人のプロ野球選手が活躍中だ。対する慶大は日本のプロ野球界に7人。早慶戦を注視してきた40代半ばのある慶大OBは嘆息する。

「早大は全国からいい選手をとる。慶大は、付属高や指定校推薦、AO入試枠などの選手が多いですから、力の差は否めないですよ」

 確かにこの5年間で見ると、東京六大学野球の10季のうち8季で早大に軍配が上がる。

 だが、慶大が早大を上回る成績をあげた2シーズンはいずれも優勝という記録を残している。そこに慶大の地力を感じさせる。

 慶大には、体育会の選手でもアスリート能力だけを偏重しない校風がある。慶應義塾体育会野球部の重田清一主将は、「選手は文武両道の精神を身につけている」と話す。自身も県立佐賀西高校を卒業後、1浪をして入学した経歴を持つ。

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