「東大よりも他大医学部」という傾向も…
「東大よりも他大医学部」という傾向も…

 公立校の躍進が目立った東大入試。2次試験の数学の易化や、トップ層に「東大よりも他大医学部」という傾向があることも加わり、私立校の合格者を減らしたとみられる。こうした背景をふまえ、都内のライバル公立校を見ていこう。

 日比谷が公立トップの53人の東大合格者を出した。戦後の合格実績で、都立校の盤石の強さを象徴した日比谷。1964年には最多の193人を記録した都立の星だが、都が学校群制度を導入した67年以降、合格実績が振るわなくなった。

 だが94年、都は単独選抜制度を復活。2001年に日比谷、西、戸山、八王子東を、03年には青山、国立(くにたち)、立川を進学指導重点校に指定し、「都立復権」へと大きく舵を切った。

 復権には、都のバックアップだけではなく、各学校の取り組みの影響も大きい。日比谷の武内彰校長は話す。

「文武両道、自主・自律の校風は継承していますが、きめ細かな進路指導にも力を入れています」

 具体的には、外部模試の導入、進路指導に全教員でかかわる体制や、進路希望や成績、部活の記録などをデータベース化して共有するシステムの構築などが挙げられる。

「自ら考え、表現する質の高い授業を目指しています。生徒はスーパーサイエンスハイスクール(SSH)や東京グローバル10など、科学や国際教育の活動に取り組み、自主的に勉強しています」(武内校長)

 都立2位の東大合格者を出した西はどうか。同校進路部主任の秦野進一教諭は、

「ツートップとして切磋琢磨して都立高をリードしていければいいと思います」

 同校の進路指導の特色は、08年から配布している「進路ノート」に表れている。3年間の進路指導の流れや学習計画表、先輩からのアドバイス、大学・学部研究など情報が満載。将来をより幅広くとらえ、多くの可能性に目を向けられるように工夫されている。14年からは希望者対象の海外研修プログラムを実施。春休みに米ハーバード大やマサチューセッツ工科大で講義を受けたり、ワークショップに参加したりする。

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