人工知能が課題解決をこなせるようになったとしても、「人工知能は新しいことを生み出すわけではありません。創造性や価値を生み出すのはやはり人間の役割です」(松尾准教授)。

 ところが、それすら人工知能が追い上げてきている。

 松原教授らが取り組む「きまぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ」では人工知能を使って作った小説を、文学賞「星新一賞」に応募した。落選したものの、それを一読したSF作家の長谷敏司さんは言う。

「思ったよりもよかったです。アマで人間が書いたこれよりまずい小説もたくさんあります」

 ただ、人工知能はまだコストがかかり、アルファ碁を動かす経費は、50億~60億円とも言われている。当面は人工知能よりも人のほうが安くすみそうだ。(本誌・西岡千史、牧野めぐみ、藤村かおり、亀井洋志、松岡かすみ、長倉克枝、上田耕司/菅野朋子)

週刊朝日 2016年4月1日号