北朝鮮はビラを詰めた風船に首都圏に届く時間をセットしたタイマーをつけて飛ばしていて、1月にはソウル市郊外の水原市で3万枚のビラが見つかり、国会議事堂がある汝矣島(ヨイド)でも、また最近ではソウル大学のキャンパス内でも発見されています」(前出全国紙記者)

 朴大統領や米国批判にまじって、4月の韓国総選挙をにらんで「従米共米に漬かった事大逆賊の輩どもを追い出し 反米自主で新しい政治を開く斬新な市民候補を選出しよう!」と書かれたものも。色も白、ピンク、ブルーや劇画調のイラストや写真付きのものまでとさまざまだ。イラストは朴大統領を揶揄(やゆ)したものが多く、中の一枚には、「維新」と書かれたサングラスをかけたデフォルメされた朴大統領が描かれ、「ファッショ魔女の国籍解剖」と題し、「主食─米国産牛肉。ねぐら─米国の51番州。悪習─従米、同族対決。口癖─制裁、孤立、圧殺。解答─米国産オウム」とも。

 人々の足跡ですすけたビラをたまたまみとめた50代の会社員は言う。

「私が小学生のころは北朝鮮のビラを派出所に持っていくと鉛筆などがもらえましたがそれも今は昔。こんなものが韓国社会に通用するといまだに思っているなんて、哀しすぎる」
(本誌・西岡千史、牧野めぐみ、藤村かおり、亀井洋志、松岡かすみ、長倉克枝、上田耕司/菅野朋子)

週刊朝日 2016年4月1日号