2年の認知症治療を経て…ボケたま記者 注目の検査結果は?
認知症早期治療実体験ルポ「ボケてたまるか!」の筆者・山本朋史記者が治療を始めて丸2年。最近、脳波検査などを受けたという。
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怒りっぽくなった。軽度認知障害(MCI)と診断されてからの傾向だと思う。夜中に目が覚めて、そんなことを考えていると眠れなくなる。
急に不安になって、2月に主治医の朝田隆さんに相談した。
「あまり心配されなくてもいいでしょう。単なる老化じゃないですか。65歳を過ぎると昼だって食事の後の1時間くらいは眠くなります。気にしすぎでは。山本さんはデイケアで熱心にトレーニングを続けて、認知機能テストや脳波の検査でも以前より改善しているという素晴らしい結果が出ていますから」
朝田医師はいつも患者を不安にさせないように受け答えしてくれる。脳波の検査というのは、1月28日に行ったNAT(Neuronal Activity Topography)解析を用いた認知症予防プログラムの効果測定検査だ。
2014年5月13日に鶴見の脳機能研究所で最初に調べてもらったときは、アルツハイマー病患者群と正常群の中間のグレーゾーンにあったダイアグラムが、先日の検査では正常群に近づいている。レビー小体型認知症パターンの類似度ダイアグラムでも改善しているという。
メカニズムに関する細かな説明は省略するが、デイケアである本山式筋トレと音楽療法がどのように効果を上げているのかを調べるために任意で行った効果測定の結果である。
前回はアルツハイマー病(AD)方向の中間からやや正常(NL)方向のグレーゾーンに位置していたが、今回はNL方向の左下に移っているのが一目でわかる。検査をしてくれた田中美枝子さんに聞くと、NAT差分類似度の経年変化でこれだけ改善したのは素晴らしいという。
「デイケアで本山式筋トレと音楽療法のトレーニングを山本さんは頑張った。だからこれだけ効果があったのよ」
この脳波検査の正確度は、まだ証明されたわけではないが、それでもニッコリだ。
ぼく自身が改善方向に向かっているとしたらそれは無条件に嬉しい。しかし、同時に認知症薬は症状の進行を遅らすことしかできないと言われているなかで、非薬剤療法であるトレーニングがMCIの状態を引き上げることができるとなれば、同じ悩みを持つ人にとっては大きな希望になるはずだ。
朝田医師は説明する。
