踊り子に酒を飲ませた劇場もあった。ふらふら動くのが色っぽいと話題に。「酒が好きで困っているんです。注意しているんですが」と警察に釈明。上半身裸の踊り子がブランコに乗る「ブランコショー」も登場。腰を覆う布がヒラヒラとめくれるが、「ブランコが勝手に揺れているだけ」と説明した。

 東京・有楽町の日劇小劇場の「りべらるショー」も観客の度肝を抜いた。ベリーダンスのように腰を前後左右に振りながら衣装を脱ぐ踊り子。胸と股間を覆う1枚の布。「いよいよ」というとき、場内の照明が落とされて暗転する。米国のストリップショーからヒントを得たというが、衣服を脱いでいく技術のうまさと妖艶な肢体、迫力ある踊りは当時としてはかなりショッキングだった。

「極限状態の戦争と敗戦、廃虚と化した東京で、食べること、生きてゆくことにせいいっぱいの日本人、とくに虚脱状態から抜け出せないでいた男たちにとって突然出現した女性の裸は、自らの命を再確認させるものだったかもしれない。裸がありさえすれば客はつめかけた」

「内外タイムス」の記者としてストリップショーを取材した演劇ジャーナリストの橋本与志夫さんは著書『ヌードさん』にそう書いた。

注:イタリア・ルネサンスの巨匠ボッティチェリの作品名

週刊朝日 2016年3月25日号より抜粋