英国調だという駅舎は、数々の流行を見守ってきた(撮影/写真部・長谷川唯)
英国調だという駅舎は、数々の流行を見守ってきた(撮影/写真部・長谷川唯)

 1日の乗客数約7万人のJR原宿駅。現在は流行の発信地のイメージが強い原宿だが、

「かつては明治神宮の参詣用の駅という意味合いの、名所にある駅という感じだったようですね」

 白根記念渋谷区郷土博物館・文学館の学芸員、田原光泰さんが言う。明治神宮の創建は大正9(1920)年。駅開業は、明治39年にさかのぼる。

 田原さんが見せてくれた明治24年発行の東京の地図によると、原宿駅周辺にはまだ民家も少なく、田畑の真ん中に駅が突然できたように見える。

「ビール工場ができてビールを積み込む用途があった恵比寿駅などと違って、なぜここにできたのか、不思議ですね」

 駅を管轄するJR東日本東京支社に問い合わせてみたが、資料がないようで、なぜここに駅ができたのかは判明しなかった。

 原宿駅の駅舎は、高原のペンションのようなシルエットだ。現存する都内の木造駅舎では最古のものだという。老朽化によって、建て替えの声もあがったが、反対の声が多く、中止になったこともある。

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