高校時代、趣味の音楽やバスケ、ファッションを通じて海外文化に興味を持っていた宮原さんの大学選びの基準は「留学できること」。国際系・グローバル系学部の中で学費が比較的安いGS学科は、第1志望だった。

 バークレー校への留学条件はTOEIC685点以上で、宮原さんのスコアは840点。だが、入学当初から成績がよかったわけではない。

「入学式の後のスコアは330点。とても留学できるレベルではなかったです」

 と宮原さん。でも、それでやる気スイッチが入った。

 通学時間は試験で間違えた単語の集中的な復習にあて、授業が終わると図書館へ直行。通常授業の課題を終えた後に、TOEICを勉強した。閉館まで過ごすことも多かったという。その結果の510点アップ。

「大変だったけど、しんどくはなかった。友達も図書館で勉強をしていて、それが普通だったし。1時間ぐらい集中して勉強したら、おしゃべりができるスペースで息抜きして。“誰々さんって美人や”とか、そういうくだらない話もけっこうしてた(笑)」(宮原さん)

 同大入学後にスコアを伸ばしたのは、宮原さんだけではない。新入生の入学時のTOEICの平均スコアは438点だが、翌年1月には612点に上がった。卒業要件TOEIC730点を1年次にクリアする学生もいる。

 だが、英語試験のスコアはあくまでひとつの指標だ。大学として、英語能力を伸ばし、どんな学生を育みたいのか。久松学部長は話す。

「単に就職に有利とか、英語ができるとかではなく、海外の大学院に進学できるような人材を育てたい。GS学科創設時の中心メンバーで話してきました。学生たちは我々の夢であり、希望なんです」

週刊朝日 2016年3月25日号より抜粋