今夏の参院選に向け、野党5党は連携を進めている。作家・室井佑月氏は、この動きを応援したいという。

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 5野党は頻繁に会談を行っているようだし、合流が決まった民主と維新は新党の名前を考えはじめているみたいだし、共産党は1人区の候補を大量に取り下げると決意したみたいだし、こりゃあ、国民の気持ちを汲んで、野党は共闘すると決めたって信じていいね?

 信じていいねっ?

 もう一度、念を押していってみる。もちろん、民主党の岡田代表にむけていっている。

 あなたのところには、考え方がアベ様寄りな議員が数人いるではありませんか? 野党共闘がこんなに遅くなったのは、それらの議員が個人プレーで「共産党なんかと組めるか」発言をしたり、集団的自衛権行使に対する自分の意見(廃止ではない)を発表したりしていたからではありませんか? しかも、その人たち、民主の中でけっこうのさばっている人たちで。

 その人たちを切っても、参院選は、安倍政権打倒&安保法廃止で、戦うって決めたんだよね。もう心は動かないよね。

 なら、応援するわ。自民党も公明党もいい反応だし。

 やっぱ、共産党が野党共闘に向け、多くの独自候補を取り下げる方針を打ち出したことが大きかった。

 自民党の谷垣幹事長は、

「政権交代可能な態勢をつくるところで、民主党にとっては自殺行為だ」

 と述べたらしい。

 つまり、

(ちっ、ほっといたら民主なんて、そのうち死ぬ運命だったのに。余計なことしやがって)

 ってことだわな。悔しかったら民主党は、国民に寄り添って死ぬ気で行動するよりない。死ぬのをただ待つよりはいい。

 
 公明党の山口代表にいたっては、

「政策的な立場の違いもあり、その後どうするかという展望も不透明な中で、果たしてどれほどの大義名分があるのか」だって。

 それをあなたがいう? おもしろすぎますぞ。

 もしかして動揺してんじゃね? だとしたら、勝つための野党共闘は間違いじゃなかったということだ。

 願わくば、民主党は小利口な立ち回りをもうやめて、本気で国民の側についてもらいたい。

 たとえば、新潟4区。

 前回の衆院選で比例復活した民主党新潟県連代表の菊田真紀子衆院議員が、参院選新潟選挙区に鞍替え出馬することが決定された。あと出しジャンケンみたいに。だって、ここは反安倍政権&脱原発の生活の党・森ゆうこさんが頑張っていたところ。

 原子力ムラが森さんの出馬を嫌がり、民主に訴えたと聞いたがほんとうか?

 民主党は、そういうところを我々に見られているとわかっていない。

 原発事故から5年間もの間、社内マニュアルに炉心溶融(メルトダウン)を判定する基準が明記してあったにもかかわらず、誰ひとりとして気付かなかったとシラを切る、そんな輩の力をまだ借りようとしているの?

 正直、党名なんて、どうでもいいのですよ。

週刊朝日 2016年3月25日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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