「保育園を探す保活の苦労は、母親に孤独感をもたらします。2月に保活の結果が出て、そんな母親たちの恨みつらみが見えないところでたまっていた。そのモヤモヤ感にブログが火をつけ、爆発に至った。母親たちの意識と行動力は高く、“議論を広げていこう”と広がった」

 SNSの運用支援をする専門家は、一連の流れについて「ブログタイトルのインパクトが大きく起因している」と話す。

「俗に、釣りタイトルと呼ばれるように、ネット上で拡散する記事は、タイトルのアイキャッチが物を言う。“死ね=最高に怒っている”ということで、これが多くの共感を生む要因になったのでは」

 マスメディアの報道も動きを加速させ、急速に波紋を広げた。いったん突き放した安倍首相も7日の参院予算委で、「政権交代前の倍のスピードで受け皿作りを進めている。保育士の待遇改善にも取り組みたい」と火消しに躍起。保育の受け皿を17年度末までに50万人分に増やす方針を説明した。

 匿名ブログを書いた本人は今、どう感じているのだろうか。記者がメールでブログ主に連絡を取ると、こう返ってきた。

「(ブログは)もともと誰かに向けて書いた文章ではなく、その場の感情で独り言のつもりで書いたもの。ここまでの騒動になるなんて、予想もしていなかったしびっくりしました。ただただ驚くばかりです」

 ただでさえ育休・宮崎謙介前衆院議員の不倫問題で女性支持層に政治不信を広げていたなかでの、安倍政権の失策。子育て世代の怒りを払拭(ふっしょく)できるか。

(本誌・松岡かすみ、上田耕司、牧野めぐみ、藤村かおり/栗原正夫)

週刊朝日 2016年3月25日号