19歳で知的障害の少年役を演じた「ギルバート・グレイプ」は、初の助演男優賞候補にもなったが、「タイタニック」では黙殺。相手役のケイトは主演女優賞候補になったのにレオはノミネートすらされず。

 LiLiCoさんによれば、その後のレオは受賞を意識して「心に葛藤を抱くような役」を選んだという。例えば「ギャング・オブ・ニューヨーク」では父を殺された移民役。「アビエイター」では強迫神経症の富豪役。癖の強いキャラが多くなり、爆発的なヒットにはつながらなかった。

 今回オスカーにたどりつき、レオは「自由になる」とLiLiCoさん。

「この先は難しい役にとらわれず、シンプルなイケメンもおばかな役もできる。50歳のレオに期待しちゃう」

 ところで今回、ファンの胸を打ったのは会場隅でローズ役のケイト(「スティーブ・ジョブズ」に出演)と抱き合ったことだ。海で別れた二人が19年を経て再会──。二人の表情を刻むシワさえも感動的な“一幕”だった。

(本誌・西岡千史、鳴澤 大、牧野めぐみ、松岡かすみ、藤村かおり/岸本貞司)
週刊朝日  2016年3月18日号