フジマキ「『マイナス金利』は『量的緩和』より先にやるべきだった」

虎穴に入らずんばフジマキに聞け

藤巻健史

2016/03/07 07:00

 順番を間違えたおかげで時機を逸した。安倍首相は、量的緩和の副作用を指摘されても、「デフレ脱却にはこれしかなかった」と、正当性を主張し続けた。しかし、「マイナス金利政策」があったではないか?

 量的緩和政策の最大の欠点は出口がないことだ。今は市場が混乱しているが、混乱が収まればマイナス金利政策は意外と効いてくると思っている。マイナス0.1%が効かなくても、マイナス5%にすれば効く。問題はマイナス金利政策が効いて景気が回復し、消費者物価指数(CPI)が2%に達するときだ。景気が過熱しそうになっても、ばらまいたお金の回収手段がないのだ。国債を銀行に売り返し、市中にばらまかれた資金を吸収しようとしても、そんな国債を買う民間金融機関はない。日銀が金利を上げよう(=国債価格を下げよう)としているときに買ったら値が下がり損をするだけだからだ。

 さらにはお金をジャブジャブにしたままでの利上げの方法は、日銀にある当座預金の金利を上げていく方法のみだ。今回、マイナス0.1%に下げた金利をプラス1%、プラス2%と上げていくのだ。しかし、超低金利国債の爆買いの結果、日銀保有の国債の利回りは著しく低い。当座預金に高い金利を支払えば、損の垂れ流しとなり日銀倒産の危機だ。垂れ流しの損を国が補填する? 日銀が紙幣を増刷して国債を買い取りその損の補填に充てる。なんじゃそれ?の世界だ。量的緩和でばらまいたお金の回収方法がなく、金利を上げることもできない。私がハイパーインフレを危惧する理由である。

週刊朝日 2016年3月11日号

藤巻健史

藤巻健史

藤巻健史(ふじまき・たけし)/1950年、東京都生まれ。モルガン銀行東京支店長などを務めた。主な著書に「吹けば飛ぶよな日本経済」(朝日新聞出版)、新著「日銀破綻」(幻冬舎)も発売中

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