辞退が当たり前に? 侍ジャパンの存在価値とは (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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辞退が当たり前に? 侍ジャパンの存在価値とは

連載「ときどきビーンボール」

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週刊朝日#東尾修
大谷は昨秋のプレミア12で活躍したが、3月の台湾戦では球団の方針などを理由に招集が見送られた (c)朝日新聞社

大谷は昨秋のプレミア12で活躍したが、3月の台湾戦では球団の方針などを理由に招集が見送られた (c)朝日新聞社

 WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の開催までちょうど1年。侍ジャパンの試合に出ることで「今年の調整ペースでは3月上旬にここが足りない」といった課題も明確になる。そういう利点だってあるはずだ。

 選手の派遣をめぐっては、12球団ごとに温度差がある。消極的な球団には「大事な選手を真剣勝負でない試合には出せない」との思いもあるだろう。2億~3億、それ以上の高額年俸を払う主力選手の故障リスクを除きたいのはわかる。「大事な選手を送り出すのに球団のトレーナーの帯同を認められないのはおかしい」という声もある。

 だが、発想の順序が違うのではないか。侍ジャパンの存在価値を高めるため、常にトップの選手が集まる──これが大前提ではないか。そうすれば、注目度も集客力も高まり、運営資金も集まる。そのうえで、各球団のトレーナーの滞在費を含めたチームの環境整備に資金を投下すればいい。

 そうしないと、いつまでたっても本当の意味でのトップチームはWBC本番や五輪でしか存在しないことになってしまうよ。

 サッカーでは、欧州で活躍する本田圭佑や香川真司らが、親善試合であっても1日かけて戻ってきて試合に出場し、とんぼ返りでチームに戻る。それが代表のステータス維持につながっている。選考基準が一定だから「代表出場試合数歴代○位」と話題にもなる。ラグビーにも(国際試合の出場数を示す)代表キャップ数がある。でも、野球はその時々で代表選考にブレがあるから、「代表出場試合数」なんて論じるほうがおかしいとなる。

 日本代表チームが“常設”されていないのであれば、何も言わない。だが、毎年3月と11月に代表戦はある。今回の辞退者続出を「仕方ない」で済ませていいのだろうか。毎年3月は「WBCの本番でないなら辞退します」というのが当たり前となってしまうのではないだろうか。

週刊朝日 2016年3月4日号


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東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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