まず花、次に犬、その次に人間?(※イメージ)
まず花、次に犬、その次に人間?(※イメージ)

 1967年。大蔵省(当時)のエリート官僚だった夫・相澤英之さんは、ある俳優の舞台を見ながら「この人は僕の嫁さんになるかもしれない」と直感した。「あら、ファンってみんなそう思うのよ」と、妻となった司葉子さんが笑い返す。ベタつかず、それぞれ自立した関係が理想だという妻。家庭でのそれぞれの素顔を聞いてみると――。

*  *  *

夫:この人はね、とても純粋な人です。俳優としてもそうで、簡単に言うと色がついていない。だから何の役でもできるのだろうと思いますね。性格の裏表もない。その代わり頑固です。

妻:純粋と頑固って、反対じゃない?(笑)

夫:それに庭いじりと犬が大好きなんですよ。彼女の順番は「まず花、次に犬、その次に人間」。だから僕なんか一番あとです。

妻:飼い犬も「自分のほうが前からいた!」って睨むもんだから。

夫:料亭の帰りに肉なんかもらって、犬のご機嫌取ったりしてね。

妻:相澤さんはね、自分のことは全部自分でやるんです。そこはお義母さんの教育のたまものと感謝しています。

夫:軍隊が長かったから、全部自分でやるようになったんです。パンツ一枚買うのも自分でやる。夫婦喧嘩もあんまりないですよ。僕の主義は「小事争わず、大事争うべし」。小さいことは主張せず、奥さんの言うとおりにするのがいいんです。

――71年に二人の間にも子どもが誕生。ただそのころ、妻には小さな反乱もあったようだ。

妻:私、一度家出をしたことがあるの。おなかが大きくなって、仕事を休んで家にいるようになったら、なんだか自分が魚臭くなっちゃった気がして、それで飛び出しちゃった。3日くらい帰らなかった。捜索願を出すか、というところまでいったのよね。

次のページ