「父親はまじめ。商品のアフターケアが良く、電話一本で修理に飛んできてくれた。おじいちゃんやおばあちゃんもよく店番をしていて、仲の良い家族。お母さんは保育園の園長さんをしていた。隼人君はおとなしそうな感じ。ちゃんと店のお手伝いもしていて、大型家電の配送など、お父さんを手伝っていました」

 中学時代の今井容疑者は吹奏楽部に所属し、トロンボーンを吹いていたという。同級生によれば、

「そんなに部活に熱心ではなかったですね。部員は上級生になるとだいたい自分の楽器を買うが、彼は最後まで学校のものを吹いていた。塾に通うためと言って、最後は部活も休みがち。勉強でもスポーツでも目立たない存在で、仲の良い友達もいなかったのでは」

 父親はしつけに厳しかったようで、少年時代の今井容疑者と妹は夕方、電器店の閉店前に父親を迎えに行くのが習慣だったという。

 高校卒業後、今井容疑者は医療系専門学校に進み、救急救命士の資格を取得。文化祭では、リーダーシップを発揮する一面もあったという。

 14年5月には「Sアミーユ川崎幸町」の運営会社である「積和サポートシステム」に入社した。その少し前に父を病で亡くし、実家の電器店も閉店している。

 勤務態度は普通だったという今井容疑者。だが、就職からわずか半年後の11月、最初の凶行に及ぶ。

週刊朝日 2016年3月4日号より抜粋