園長は取材に対し、「本当に頭にきた」と振り返る。担任が「あの子は嘘から始まる子だ」と言ったといい、「田舎の保育所から入学した子だと、二重三重に下に見ている印象を受けました。子どもを大事にしていない様子がうかがえ、最後は僕が『時間の無駄だ。帰ろう』と言ったほどです」と話す。

 弁護士によると、校長からは(1)保護者が通学時にお金を持たせている(2)学校から保護者に連絡を取りにくい──という2点が問題として示されたという。母親は(1)について「息子が通学電車で寝過ごしたことがあった。お金は不慮の事態への備え」、(2)については「私の勤務先の決まりで、携帯電話をロッカーに入れているからだ」と説明。母親が、病気などで欠席させるときは事前に連絡していたと主張すると、担任が「連絡を受けていない」と反論するなど、話し合いは平行線をたどったという。

 母親によると、その数日後に校長から「転学願」を渡された。母親はその場では突き返したが、夏休みのうちに事態を解決したいと悩んだ。弁護士を通じ、「転学願を出すならこれまでの経緯を書く」との意向を校長に伝えたところ、「自己都合としないと受け付けない」と拒否された。

 2学期も通学させるつもりでいた8月末、校長名で「通告書」が送られてきた。「在学関係は既に破壊されているので、あえて通学させるのであれば、新に、誓約書を差し入れて戴き、当校はそれを検討して返答する」(原文ママ)と書かれていた。9月中旬までに誓約書に署名しない場合は「退学処分をせざるを得ない」とし、提出するまでは登校を認めないという。

 誓約書には「よくないことをしたと分かったときは、きちんと謝ります」との一文があった。母親が悔しそうに言う。

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