藤巻健史「量的緩和よりマイナス金利のほうが効果ある」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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藤巻健史「量的緩和よりマイナス金利のほうが効果ある」

連載「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」

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衆院予算委で民主・前原誠司氏の質問に答える黒田東彦日銀総裁 (c)朝日新聞社

衆院予算委で民主・前原誠司氏の質問に答える黒田東彦日銀総裁 (c)朝日新聞社

 また、量的緩和は「日銀が購入する国債はあと1年から2年で枯渇する」といわれているように限界がある。マイナス金利政策には限界はない。いくらでもマイナス幅を拡大できる。必要とあらば強力なアクセルに頼れるということだ。

 ところで、「マイナス金利は預金者という弱者いじめだ」との批判が出てくるだろう。しかし「景気が良い」ことと、「預金金利が高い」ことは、決して重ならない。「景気が悪くても預金金利が高い」のが良いのか、「景気が良いけれども預金金利がマイナス」なのが良いかの選択だ。両者は重なってはいないのだ。

 今回決定のマイナス0.1%が景気回復に効かなくても、マイナス10%にすればいくらなんでも効くだろう。マイナス金利導入は景気回復とインフレ率2%の達成時期をかなり早めると思われる。

 問題はその結果、消費者物価指数が早めに2%に達することだ。量的緩和でジャブジャブにした資金の回収方法がない。回収どころか日銀がお金を刷り続けなければ政府の財布が空になる。歴史の教えるハイパーインフレのリスクの到来だ。2013年4月、私が主張していたように、あのとき、「異次元の量的緩和」ではなく「マイナス金利政策」を導入すればよかった。「1度始めると、問題が起きても対応する政策がない」という意味で「異次元の量的緩和」の開始は「ルビコン川を渡ってしまった」ことと同様だ。「異次元の量的緩和」が日銀や日本経済にとって「三途の川」でないことを祈るばかりだ。

週刊朝日 2016年2月26日号


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藤巻健史

藤巻健史(ふじまき・たけし)/1950年、東京都生まれ。モルガン銀行東京支店長などを務めた。主な著書に「吹けば飛ぶよな日本経済」(朝日新聞出版)、新著「日銀破綻」(幻冬舎)も発売中

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