この3診療科は長時間の手術や緊急の呼び出しがほとんどなく、結婚や出産をした後で働きやすいことも、数字を押し上げている。

 続いて収入面。一般的に医師は激務で、責任が重くのしかかるぶん、高給といわれている。発売中のアエラムック「医学部がわかる」では、厚労省が昨年11月に公表した「医療経済実態調査」をもとに、「開業医の平均報酬額」を探ってみた(報酬額は一部経費を含む場合がある)。

 1位は眼科で3273万円、2位は耳鼻咽喉科3005万円、3位は整形外科2942万円となっている。開業するときには多額の資金が必要となるが、患者が集まり、自由診療も積極的におこなっていけば、収入は勤務医時代より跳ね上がるという。

 1位の眼科は急速に進む高齢化で、白内障の手術件数が増加していることが要因に挙げられる。手術患者は年間約100万人。大半の人が日帰りですむため、回転率も上がり、利益が出やすいようだ。井上眼科病院(東京都千代田区)の井上賢治院長は言う。

「今後も白内障の手術件数は増えていくでしょう。数が多いと収入は安定します。眼科の仕事は、すぐに結果が表れるのが特徴。見えるのか、見えないのか。患者さんは医師をシビアに見ている。そのぶん責任は重いし、やりがいもあります」

 2位の耳鼻咽喉科は花粉症で悩む人や、鼻や喉に起因する風邪で同科に行く人が増えていることが大きい。

 3位の整形外科はからだを動かすのに重要な骨や筋肉、神経などの運動器を治療するのがおもな仕事。高齢化とともに、患者数や手術数が増えている。

週刊朝日  2016年2月19日号より抜粋