マイナス金利で個人預金やローン金利はどうなる?(イメージ)
マイナス金利で個人預金やローン金利はどうなる?(イメージ)

「弱々しい」アベノミクスに日銀黒田バズーカの第3弾が放たれた。なんと金利がマイナスなんて……あるんです。銀行にためた貯金が目減りするなら一大事。これじゃ『アリとキリギリス』も書き換えないと。個人預金は大丈夫か、ローン金利はどうなるの。あなたのギモン解決します。

◇住宅ローン

 金利引き下げ競争が続く金融業界にも衝撃が走った。ある都市銀行員は言う。

「マイナス金利で収益は減ります。ただ日銀は本気だなと。このままでもジリ貧です。カネの亡者といわれるかもしれないが、我々は仲介業。個人や企業が元気にならないと我々も良くならない。効果が出てほしい」

 対応する動きも出てきた。今月1日、新生銀行が2月の住宅ローン金利を発表。翌々日、再度引き下げて発表した。「マイナス金利導入と市場動向をみて見直した」(広報担当者)のだ。

 契約者が死亡しても団体信用生命保険で債権回収ができる住宅ローンは、金融機関にとっては安定した収益源。だが国内には1500超の金融機関がひしめく。金融緩和ですでに金利も歴史的な低水準だ。とくにネット系銀行や三井住友信託銀行は住宅金利に好戦的で、「店舗もなくコストが安いのがネット系の強み。市場に連動させ、マイナス金利を反映する可能性はある」(ソニー銀行)という。

 東短リサーチの加藤出氏も「欧州では住宅ローン金利にコスト転嫁する銀行もあるが、それができるのは銀行が少ないから。日本は上げられず、下がる余地がある」とする。ではどんな人に好機到来か。横浜FP事務所の平野雅章氏はこうみる。

「低金利のここ数年に借りた人には借り換えメリットは少ない。でも優遇金利幅が広がっている。変動金利が1%台、固定金利では2%台の時代に借りた人にはいい。住宅ローンはなにせ金額が大きいですから」

 平野氏の試算では、返済期間35年で3千万円を借りた場合、ローン金利が0.1%下がると約55万~70万円も違ってくる。

 平野氏はこう続ける。

「また金利に目を奪われがちになりますが、保証料と融資手数料などの費用にも注意。金利競争も限界まで来ているので、最近は金利以外のところでも差別化が図られています」

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