だが、公安調査庁が毎年発表するリポート「内外情勢の回顧と展望」には現在もオウム真理教や他の過激派左翼団体と同列に「共産党」の項目が設けられ、<集団的自衛権問題などを批判しつつ、「安倍政権打倒」の運動を提起>などと最近の動向が詳細に記されている(15年1月版)。つまり政府からはいまだに「監視対象」なのである。

 民主党の松本剛明元外相に至っては「私の描くこの国の未来において共産党との連立はありません」(公式HP)と、昨年11月に離党してしまったほどだ。

 どうすればこうした状況を打開できるのか。政治学者の御厨貴・放送大学教授はこう語る。

「本当に政権を取るためには『共産党』という名前を捨てて改名するなど、もっと踏み込んだ党内改革をする必要がある。現在の『民主集中制』では、トップの志位委員長をどのように選んだのか国民にわからないし、国会議員と議長を引退した不破哲三氏が今も大きな影響力を持つなど、意思決定のプロセスが見えづらい。かつての宮本顕治氏に次ぐカリスマの不破氏がいなくなったら、党運営が行き詰まってしまうのでは」

 元参院議員で共産党ナンバー4の政策委員長だった筆坂秀世氏によれば、共産党は地区委員や都道府県委員、中央委員などの幹部は党員選挙で選ぶ仕組み。ただ、そこにはこんな問題があるという。

「候補者の推薦名簿が配られダメな人だけ×印をつけて投票するのですが、共産党は基本的に秘密組織であり、軍隊と似てタテの指示系統だけで横の連携がまったくない。顔と名前が一致しない候補がたくさんいる。特に企業の支部の党員は偽名であることも。結局、上が推薦した人間がそのまま幹部に選ばれる。派閥も生まれないし、横の連携がないところには民主主義もない。この仕組みで内部結束を維持しているので、改革したら組織がバラバラになる恐れもある」

週刊朝日 2016年2月19日号より抜粋