“劇薬”マイナス金利の衝撃 アベノミクスに黄信号 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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“劇薬”マイナス金利の衝撃 アベノミクスに黄信号

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物価上昇率2%の達成に必至な黒田東彦日銀総裁 (c)朝日新聞社

物価上昇率2%の達成に必至な黒田東彦日銀総裁 (c)朝日新聞社

「想像すらしていなかったね。甘利さんの辞任の影響でしょうか。甘利さんの辞任よりマイナス金利だよ。今日は一日、大忙し。売買に追われたよ」(国内証券ディーラー)

 官邸からも歓迎のコメントが相次いだ。

 マイナス金利とは、預けているほうが金利を払うというもの。今回は銀行が日銀に預ける際、一部に0.1%の金利を支払うとの内容だった。つまり、銀行が日銀にお金を必要以上に預けた場合、0.1%の利子を取られるのだ。

 マイナス金利にすれば、銀行が日銀に預けずに企業の設備投資など貸し出しに回すようになることや、住宅ローンや車のローン金利が下がることが考えられる。マネタリーベース(市場に流れるお金の量)の増額、長期国債の保有残高の拡大などの緩和策を取っていた日銀だったが、さらに踏み込んだ緩和をした格好だ。

 今後の景気浮揚の期待感もあって、29日の日経平均株価は大幅反発し、前日比476円高の1万7518円で終えた。欧州ではマイナス金利導入以降、経済は緩やかに回復している。だが、「マイナス金利は劇薬。政策として踏み込みすぎ」(市場関係者)との声があるのも事実だ。みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は言う。

「欧州と異なり、日本では企業の資金借り入れ需要は、そんなに多くありません。マイナス金利にしても、金融機関から企業などへの貸し出しが増えて経済を浮揚させるというルートは成り立ちにくいでしょう」

 リスクや副作用が伴うことも否めない。

「日銀が市場に踏み込みすぎることで財政規律が弛緩する、貸し出しもできず預金の運用が難しくなった銀行が無理な投機に走る、などの問題が出てくる可能性があります。『臨床試験が不十分なまま新薬を投与するかのような実験的な政策』で危うい」(上野氏)

 マイナス金利の次は、どのような手で日銀は市場を驚かすのか。

(本誌・小泉耕平、永野原梨香)

週刊朝日 2016年2月12日号


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