北原みのり「SMAP解散報道と東方神起分裂」
連載「ニッポン スッポンポンNEO」
今回の謝罪に限らず、これまで幾度となく目にしてきた日本社会の男たちの謝罪方法や、事の始末の付け方に、私自身が心底うんざりしているのだと思う。謝罪に屈辱を滲ませるような空気、問題を「なかったこと」にしたがる組織、責任の所在を明らかにせず、スケープゴートにした個人に全て押し付けようとする力、力ある立場が振るう“見せしめ”を黙認する社会。謝罪がただの形式化していて、誰の痛みにも寄り添うものではなくなっている。
女性の欲望を形にし、異論はあるにせよ何十年も耐性のある「抱かれたい男」を産みだし、国境を超えたアジアのスターとなったSMAP。そんなSMAPであっても、日本の男社会の原理から逃れられず、あんな謝罪しかできなかったことが重たい。
東方神起の分裂は、思えば、苛烈だった。中途半端に手を打たず、残された2人は未来を奪われたところから再出発した。人の心が離れることは、組織から見放されるよりも、どれほど怖かったろう。そんな経験を経た東方神起ファンとして、女の心が離れることに恐怖を感じないアイドルの会見ほど、殺伐とした気持ちになるものはない。間違った方向を向いた無意味な謝罪を、SMAPにさせるべきじゃなかった。
※「なぎ」は弓偏に前の旧字体。その下に刀
※週刊朝日 2016年2月5日号
おすすめの記事
あわせて読みたい