「タワーマンションは上下移動にとても時間がかかります。封筒は水に弱く、雨が降り少し濡れるとダメになる。よれよれの封筒を届けたところ、文句を言われ、15分くらい謝り続けた」(別の郵便配達員Bさん)

 そんな中、「マイナンバー事故」も多発していたという。首都圏のある局ではバイクで車に突っ込み顔面骨折という重傷を負った配達員がいた。接触、転倒事故など、Aさんが知っているだけで10件以上あるという。

「事故はマイナンバー配達のしわよせが原因。通常の郵便物に加え、マイナンバーの配達で昼ごはんを食べる暇もない。配達ミスがあると朝の会合では、つるし上げのように注意される。うちの局では休日出勤でマイナンバーだけを集中して配達して完了させた配達員が多かった」(Bさん)

 マイナンバー配達後、その過酷さで多くの郵便局から配達員が消えたという。そのため、現場はいまだに混乱、過重な配達が続いているという。

「マイナンバーの配達では社員の超過勤務、休日出勤なども含めて対応しましたが、会社としては法令に則り、適切に対応しました」(日本郵便広報室)

(本誌取材班=牧野めぐみ、上田耕司、亀井洋志、山内リカ、松岡かすみ/今西憲之、岸本貞司)

※ 週刊朝日2016年2月5日号