(※イメージ)
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 フード&ワインジャーナリストの鹿取(かとり)みゆきさんが、日本ワインを紹介する。今回は、北海道岩見沢市栗沢町の「クリサワブラン 2014(白)」。

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 ワインの名は、土地に由来したり、ブドウの品種名が使われたりすることがある。「クリサワブラン」の場合は、前者だ。北海道岩見沢市でブドウ園「ナカザワヴィンヤード」を営む中澤一行さんと妻の由紀子さんが、合併前の栗沢町(現・岩見沢市)にちなんで名づけた。ブランは仏語で白を意味している。

 2.4ヘクタールの広々としたブドウ園では約15種のブドウが育てられている。このワインでは、5品種を主体に、その年に収穫できた計十数種ものブドウが使われている。収穫は品種ごとにタイミングをみて行っているが、発酵はすべて一緒だ。収穫量や品質は天候に左右されるため、各品種のブレンドの比率は年ごとに微妙に変わる。

「それこそが栗沢という土地や、収穫した年の味わいを表していると考えています」と中澤さんは話す。

 ワインを口に含むと、それぞれのブドウが独自の旋律を奏で始め、最後には一つのハーモニーが生まれるかのようだ。

(監修・文/鹿取みゆき)

週刊朝日  2016年1月29日号