プロゴルファーの丸山茂樹氏は、石川遼選手のリオデジャネイロ・オリンピック出場の可能性をこう分析する。

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 ロサンゼルスの自宅に戻ってます。女子プロゴルファーの渡邉彩香さん(22)もこっちへ来て練習してますよ。今年は気温が低いんです。昼間は比較的暖かいですけど、それも15、16度ですから。去年はもうこの時期で半袖短パンだったんですけどね。かなり低いです。

 米PGAツアーの今年初戦となった「現代トーナメント・オブ・チャンピオンズ」(1月7~10日、米ハワイ州カパルアのプランテーション・コース)は22歳のジョーダン・スピース(米)が30アンダーで今シーズン初優勝を飾りました。2015年の米ツアー優勝者だけが参加できる大会なんですけど、とんでもないスコアが出たもんです。

 僕も3度出ました。03年に出たときにアーニー・エルス(南アフリカ)が31アンダーで優勝して、これが米ツアー記録なんですけど、あと1打まで迫っちゃいましたね。僕が出て以降、ゴルフ場の距離も伸びてるんで、難しくなってるはずなんですけど。道具の進化があるうえに、選手自身も進化を遂げてきてる証拠でしょうね。

 スピースといえば1月12日に発表された米ゴルフ・ダイジェスト誌のゴルファー長者番付で1位に輝きました。各選手の賞金額にツアー外での収入を推計して加えたものですが、なんと62億5千万円ですよ。03年にこのランキングが始まってからずっとタイガー・ウッズ(米)がトップだったんですけど、ついに陥落しましたね。着実に時代は変わってきてますね。

 日本では男子ゴルフ界の新しい顔が決まりました。1月6日、ジャパンゴルフツアー選手会は新たな選手会長に宮里優作(35)を選びました。僕も選手会の顧問として名を連ねてますので、優作の手伝いが少しでもできるなら頑張りたいと思いますね。

 
 試合数を増やすのは非常に難しいだろうから、とにかく現状で男子ツアーを応援してくれているスポンサーのみなさんに対して、どうすればその支援を継続してもらえるのか考えて実行するのが最大の仕事でしょうね。それぞれの選手がやっていくべきことを明文化して、掲げていかないとダメですね。日本ゴルフツアー機構(JGTO)に対しても、いろんなことを提案して申し入れていかないと、何も変わらないです。

 石川遼(24)が年明けの渡米前にリオデジャネイロ・オリンピックへ向けて前向きな発言をしたそうですね。

「オリンピックはゴルフファンのみならず、ほかのスポーツファン、さらに普段はスポーツ観戦をしない人も見る。自分としてはモチベーション高く、そこを目指していければ」と。

 遼は1月12日現在のオリンピックランキングで日本男子の6番手ですが、そういう気持ちがあれば米ツアーでもさらに強いモチベーションになるでしょうからね。大きな目標を立てると頑張るタイプなんでね。

 米ツアーで初優勝できると、可能性が出てきますよね。勝てないとちょっとチャンスがないかな? まあトップ10を立て続けに出せば分かりませんよ。7月11日時点で世界ランク15位に入るか、オリンピックランク日本勢の上位2位に食い込むか。1試合ずつが勝負になってきますね。

週刊朝日  2016年1月29日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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