山形・月山の赤ワイン 夫婦でつくる「フレッシュでやさしい果実味」

週刊朝日
 フード&ワインジャーナリストの鹿取(かとり)みゆきさんが、日本ワインを紹介する週刊朝日連載の「日本ワインの食卓」。今回は、山形県西川町の「特醸月山2013(赤)」。

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 山形県の月山山麓にある月山トラヤワイナリーは、35年のワイン造りの歴史を持つ。醸造担当の大泉匡寛さんは、8年前、ワイナリーの後継ぎだった奈緒子さんとの結婚を機にこの世界に入った。門外漢だったが前任者のもとで働き、必死に仕事をおぼえた。

「特醸月山2013」は、匡寛さんと奈緒子さんが力を合わせ、初めて2人で仕込んだ。

「まずはこれまで自分自身で勉強してきたことを忠実に守ることを心がけています」。匡寛さんは、あくまで謙虚に振り返る。それでも造りには、彼らなりに徹底的に手をかけた。果汁やワインを樽や容器に移すときには、圧力がかかるポンプを使わず、サイフォンを使った。はるかに手間はかかるが、ブドウやワインにかかる負担は激減して、果実が本来持っている風味は損なわれない。

 ワインは口に含むと、フレッシュでやさしい果実味がじわりと身体に沁み入る。

「息つく暇もない世の中ですが、田舎町の小さなワイナリーから、やさしさを届けたい」。2人の願いが伝わるようなワインだ。

週刊朝日 2016年1月22日号

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