重度の人にはゼリーだけ、口の中でまとめる力がある人にはペースト食、もっと回復すればつぶ状のものを加える、などと症状に合わせていきます。

 老老介護では、3食ともこのような料理は難しい場合もあります。このため、食べられるのに胃ろうを残し、1食だけ料理をつくってもらい、足りない栄養は胃ろうから、という選択をされる夫婦も多いです」(菊谷歯科医師)

Q:手術はどのタイミングで、どこで受けるのがよいですか?

A「通常はリハビリ専門施設で半年ほど治療を受けても改善しない時点で手術を検討します。将来改善する見込みがあるかどうか見極めることが重要です。あせって決める必要はありませんが、手術を受ける気力や体力のある時期がよいでしょう。負担の小さい手術を早期におこなう場合もあります。進行する病気では、誤嚥により気管切開術をおこなうタイミングで誤嚥防止手術を同時におこなうこともあります。

 手術は耳鼻咽喉科でおこなっています。ただし、嚥下機能改善手術は術後のリハビリも重要なので、言語聴覚士や認定看護師などの専門スタッフがいたほうがよいでしょう」(東京大学病院耳鼻咽喉科・聴覚音声外科講師の二藤隆春医師)

週刊朝日 2016年1月15日号