「沖縄県の翁長雄志(たけし)知事です。彼が参院選の全国比例で出馬すれば、04年に浜四津敏子氏(公明)が獲得した過去最高の182万票超えは確実。300万票台に乗せることもありうる」(前出の野党関係者)

 翁長知事は辺野古新基地に反対し、安倍政権に一歩も引かない姿勢を貫いている。たしかにこの人なら、“反安倍”のシンボルになれるかもしれない。

 実現可能性はどうなのか。インサイダー編集長の高野孟氏はこう分析する。

「沖縄では1月24日に宜野湾市長選、6月に県議選、夏ごろには国が翁長知事を訴えた代執行訴訟の判決が出るなど、重要な政治日程が続く。キャンプ・シュワブ前の現地闘争も激しさを増すことは確実で、知事を辞めて国政に出るのは簡単ではない」

 だが、たとえ立候補しなくても、選挙の“顔”になれるという。

「沖縄が安倍政権との政治交渉で敗れ、裁判でも敗訴となると、残りは実力行使しかない。こうなると、知事自ら日本全国を行脚して辺野古基地の問題を訴え、参院選の争点にしようとするでしょう。沖縄では、知事が辺野古の座り込み闘争に参加して世界中のメディアの注目を集め、安倍政権の横暴を訴えるのではとも言われている」(高野氏)

 向かうところ敵なしの安倍政権。そこに“アリの一穴”をあけるのは、東京から遠く離れた“島国の王”かもしれない。

週刊朝日  2016年1月15日号