個別の問題に合わせた具体的なアドバイスを…(※イメージ)
個別の問題に合わせた具体的なアドバイスを…(※イメージ)

 リストカット、ひきこもり、家庭内暴力──。このような問題の裏に、「パーソナリティー障害」がひそんでいるかもしれない。

 大学卒業後、事務の仕事に就いていた水島京子さん(仮名・29歳)は、23歳のとき、失恋をきっかけにうつ状態になり、26歳で会社を退職した。1年後、親友の結婚話を聞き、親友に怒りのメールを送ったり、そのことで自己嫌悪におちいったりと、人間関係のトラブルが増えた。

 パーソナリティー障害の中でも重症度が高く、病院を受診する患者の6割以上を占める「境界性パーソナリティー障害(BPD)」の症状は、対人関係の中で表れる。他人に「見捨てられること」を強く恐れるあまり、トラブルを起こす。たとえば、好意をもって接近したかと思うと、ちょっとしたことで敵視するなど両極端な反応をする。

 水島さんは、別の女性と結婚した失恋相手と偶然出くわし、フラッシュバックが起こるようになった。母親に暴力をふるったり、包丁を持ち出し死ぬと騒ぐなど、家族は半日も目を離せない状態になった。ついに睡眠薬を大量に飲み、救急病院に運び込まれる事態に至った。

 このように急に怒りを爆発させる、暴力をふるう、自傷行為をするなど、感情と行動のコントロールができないのが特徴だ。

 診断では、(1)不安定な対人関係(2)激しい感情(3)衝動的な行動の三つの領域から判断する。

 BPDは他の精神疾患を引き起こす性質がある。

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