「9月からもっと電話が鳴り、『社名変更したら』とか『勝田って誰や。佐野と代わったんか』とか……。今は落ち着きました」(勝田真規代表)

 デザイン教育にも影を落とした。関係者は訴える。「現場は萎縮しています。著作権なども教えていますが、若者の学びはまねることから始まる。それがないと、自己規制し、想像力も制約されます。教え方が難しくなってきている」

 暗雲垂れ込める業界にさらなる不安も。今話題のAI(人工知能)だ。というのも、AIは類似を探して避けたり、あらゆる形を組み合わせたりするのは大得意。デザインの仕事も盗られるのか。第一人者の東京大学大学院の松尾豊准教授はこう解説する。

「AIには文化や歴史などの背景まで理解できないので組み合わせは作れても、そこから『本当にいいものを選び出す』のが難しい。レベルが上がればできることも増えますが、デザインは当面は人間の分野です」

 一般からも募った再募集への応募数は計1万4599件。16年1月7日から本審査がスタートする。

(本誌取材班=上田耕司、亀井洋志、小泉耕平、永井貴子、長倉克枝、永野原梨香、鳴澤大、西岡千史、秦正理、林壮一、牧野めぐみ、松岡かすみ、山内リカ/今西憲之、菅野朋子、岸本貞司、桐島瞬、柳川悠二)

週刊朝日 2016年1月1‐8日号