「でも、俳優が天職だなんて思ったことはないし、一生この仕事をやっていくかどうかなんて、今も決めてないです(苦笑)。たまたま、目の前にあった流れに乗っかって、今も流されているだけじゃないかな。ただ、作品と人との出会いに助けられているとは思ってますけど」

 将来の目標は持たず、とくに計画も立てないままここまできた。一生この仕事を続けるかどうかは決めていなくても、「俳優の仕事は好きだし、定年など設けられてないことが、性に合っているんでしょうね」と話す。

「役者の仕事をやっていると、一つの作品ごとに入社式と定年を繰り返しているような感じですからね。サラリーマンの友達とは、彼のような定期的な休みと定期的な収入がある仕事と、僕のように不定期の休みと不定期の収入の仕事と、どっちがいいんだろうね、なんて話したりはします。ただ、僕の場合は、どうせなら自分を使って遊びたい、楽しみたいっていうのがある。あとは、わかりやすいものより、よくわからないもののほうが好きですね。疑り深い性格なんです(笑)。何か、目の前に答えが提示されても、『本当にそうなんだろうか』ってまず疑う。芝居には正解がないじゃないですか。そこが好きなのかもしれません」

週刊朝日 2015年12月25日号