3メガバンクはいずれも公的資金を返済し終わっている。とはいえ、公的資金を返したからといって政治献金を再開していいことにはならないだろう。その理由としてはまず、政党交付金との“二重取り”がある。

「政治とカネ」の問題で国民の政治不信が極まった94年、小選挙区比例代表並立制、政党交付金の導入を柱とする政治改革4法が成立した。政党助成法は、国民1人当たり250円負担して、一定の要件を満たす政党に交付するという内容だったが、企業・団体献金の廃止が前提だった。

 よって、企業献金そのものが本来許容されない。だが、そのことを差し置いても、銀行の政治献金には大きな問題がある。自民党が銀行の融資先であるからだ。

 11月27日に総務省が公表した政党の2014年分政治資金収支報告書によると、自民党への融資は、三菱東京UFJが31億6250万円、みずほと三井住友がそれぞれ20億7500万円、りそなが8750万円となっている。

 仮に貸出金利を1%とすると、20億円の融資では年2千万円の利息が発生する。融資先に政治献金するということは事実上、「元本の減額」あるいは「利子の減免」になってしまう。

 新生銀行の社内弁護士を務めていた民主党の階(しな)猛衆議院議員は、融資先への寄付行為について次のように語る。

「銀行はまず、貸したお金を回収してから寄付すべき。銀行が融資を決定するにはルールがある。返済能力を審査して適格と判断したら十分な担保を取る。住宅ローンなら自宅が担保になる。政党は収益企業ではないし、融資しても利益を生むことはないので、返済は政党交付金ということになる。融資先への献金は株主に対して説明できるのか疑問だ」

 階氏は過去の経験から融資先への献金を認めるわけにいかないと批判し、民主党のスタンスについても語る。

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