財務省が、日本国債の海外売り込みに力を入れている(※イメージ)
財務省が、日本国債の海外売り込みに力を入れている(※イメージ)

 財務省が、日本国債の海外売り込みに力を入れている。ヘッジファンド、中央銀行といった海外投資家への個別説明会を国内で59件(2014年)も開き、欧米、アジアなどで10回の宣伝活動を重ねた。

 海外投資家の占める保有割合も05年3月末の4%から、15年3月末に9.4%と、過去最高水準に。ちなみに米国債は4~5割、ドイツ国債は6割が海外勢だという。

 これまで国債の国内保有率の高さと、安定した金利を誇ってきた財務省。なぜ海外勢に売り込みをはかるのか。東短リサーチの加藤出氏は解説する。

「近い将来、高齢化の進行で貯蓄額が減り、日本国債を買うための資金(預金)が減るでしょう。そうなると、国内勢では買い支えられなくなる。いまのうちに国債の販路を広げておく必要があるのです」

 だが、海外勢は投資環境が悪化すれば、資産を引き揚げるかもしれない。

 株価が乱高下した8月、中国が米国債を大量に売ったと報じられた。米財務省によると、中国の米国債保有額は1兆2237億ドル(今年2月末時点)と、日本と保有額の首位を争っている。

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