伊勢志摩サミットでデモを想定して訓練する三重県警 (c)朝日新聞社
伊勢志摩サミットでデモを想定して訓練する三重県警 (c)朝日新聞社

 パリの同時多発テロの後、「イスラム国」(IS)の機関誌でテロの標的に名指しされた日本。そこで注目されるのが、新たに発足することになった「国際テロ情報収集ユニット」である。同ユニットは常設の国際テロ情報の収集・分析チームで、数十人の陣容。もともと来年発足の予定だったのが、11月22日、安倍首相が「12月上旬に発足させる」と前倒しを発表した。日本は安全なのか、軍事ジャーナリストの黒井文太郎が取材した。

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 日本が目下、直面しているのはテロ対策だ。

 そんなテロ対策の司令塔が、警察庁警備局の外事情報部国際テロリズム対策課(通称・国テロ)だ。外事情報部の陣容は100名弱で、国テロはその約半数。幹部は警察庁キャリアで、職員は警察庁プロパーと各都道府県警公安部門からの出向者の混成部隊だ。

 外事情報部からは主に国テロを中心に、常に十数名が長期出張の形式で海外に派遣されていて、現地の治安当局と接触し、国際テロ情報を収集している。

 日本大使館の外交ルートではオモテの情報交換しかできないことが多いため、国テロ捜査官の役割は非常に大きい。

「しかし、あくまでポリス・デパートメント(警察庁)の出張者というだけでは、外国の情報機関と対等に話をすることは難しい面があります。外国のカウンターパートというのは同種の組織になりますから、たとえばアメリカで警察庁のカウンターパートになるのはFBIですね。FBIも国際テロ情報を持っていますが、できればCIAとも連携したい。しかし、日本にはCIAのカウンターパートとなる専門の対外情報機関が存在しないのです」(警察庁関係者)

 そこで注目されるのが、新たに発足することになった「国際テロ情報収集ユニット」である。同ユニットは常設の国際テロ情報の収集・分析チームで、数十人の陣容。もともと来年発足の予定だったのが、11月22日、安倍首相が「12月上旬に発足させる」と前倒しを発表した。

 同ユニットは外務省の傘下になるが、初代のユニット長には前警察庁外事情報部長の滝沢裕昭・内閣審議官が内定している。職員には警察庁と外務省のほか、防衛省、内閣情報調査室、公安調査庁(公安庁)などから国際テロや中東情勢の専門知識のある人材を集めることになっている。

 同ユニットは外務省内に本部を置くが、アンマン(ヨルダン)、カイロ、ジャカルタ、ニューデリーの4カ所の大使館に出先窓口を置き、メンバーを常駐させる。その他の職員も随時海外に派遣するようだ。

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