「ノロウイルスはヒトの腸のみで増えますが、体外でも1日程度は生きています。またわずか数十個で感染するため、とくに乳幼児や高齢者、基礎疾患をお持ちの人がいるご家族や施設の方は、ぜひ対策を徹底してください」(同)

 ノロウイルスは予防が大切だ。そこでまず自分が感染しないための最善策は、次の2点になる。

[1]食べ物に触る前に手を洗う(食べる前ではない)

[2]外出時にマスクをする

 これを徹底するだけでかなり防ぐことができる。

 さらに徹底するなら、手洗いは頻度も重要になる。洗い方は、せっけんを使い、ぬめりがとれるまで流水で洗い流す。手を拭くタオルの使い回しは厳禁。公共機関などに置いてある消毒液も、「効かないから」と敬遠せず積極的に使う。トイレは流すときは飛び散らないようフタをする。食品は85~90度で90秒以上加熱する。感染研ウイルス第二部第一室室長の片山和彦さんはこう話す。

「感染経路は複数ありますが、一言で言うと『糞口感染』、つまり便が口に入ることで感染します。二枚貝も、感染した便が海や川に流され、食物連鎖で貝の中にたまり、それを人が食べることで感染します」

 外食産業で働く人は、トイレと調理場が近いなど建物や空調の構造に問題があると食中毒が起こりやすいことを知って対処しておく。発症者や感染しても発症しない人(不顕性感染)がいてもウイルスが広がらないように、従業員の動線に気をつけるなど、糞口感染という基本を押さえておけば、状況に応じた予防はできるという。

週刊朝日  2015年12月4日号より抜粋