「防音設備にお金をかけ、地域住民と対話を重ねながら、20年以上も健全経営を続けてきた。何とか営業を認めてほしい」
事はダンスだけにとどまらない。改正法は「ダンス」という言葉を使わないかわりに、ダンスを含む「遊興」全般として規制する。従来の風営法も飲食店での深夜遊興を禁じていたが、罰則まではなかった。改正法では「特定遊興飲食店」の許可を取らずに深夜に遊興をさせると、2年以下の懲役か200万円以下の罰金を科される。
「風営法改正は、飲食店における深夜の遊興の全面禁止を改めるものであり、これによって規制が強化されるものではありません」
警察庁はそう強調するが、遊興の“解釈”次第では、深夜営業のライブハウスやDJバー、2晩以上にわたる音楽フェスなども規制対象になりかねない。警察庁の案に対しては規制強化を危ぶむ声もあがったが、今月10日にほぼ原案どおり閣議決定された。
風営法問題に詳しい斎藤貴弘弁護士はこう話す。
「これまで禁止されてきたナイトエンターテインメントが、条件付きとはいえ認められたことは前進。だが、過度な立地規制は問題だし、遊興についても限定的に解釈していくべきだ」
改正法の施行は来年6月。議論が不十分なまま見切り発車すれば、さらなる混乱を招くおそれもある。
※週刊朝日 2015年12月4日号