風俗営業法が改正され、ダンスクラブの深夜営業が解禁されるかと思ったら…(※イメージ)
風俗営業法が改正され、ダンスクラブの深夜営業が解禁されるかと思ったら…(※イメージ)

 風俗営業法が改正され、ダンスクラブの深夜営業が解禁されるかと思ったら、さにあらず。立地制限にかかる店が続出し、ライブハウスなど異業種にも影響が出かねない情勢だ。

 10月下旬、東京・六本木のサルサクラブ「パライソ」。サルサの陽気なリズムに合わせ、カクテル光線に照らされた男女が踊っていた。30~40代を中心に、60代以上とおぼしきシニアの姿も見える。

 サルサの国内の愛好家は数万人とされ、六本木はその中心地。パライソは、前身店も合わせて20年以上の歴史を持つ名店だ。

 ところが、10月末で閉店し、ダンスをさせない飲食店へ転換した。改正風営法の下で営業許可が取れない見通しとなったからだ。

 ダンス営業を規制する風営法は1948年、売春など風紀の乱れを正す目的で制定された。警察当局はここ数年、近隣の騒音苦情などを理由に、同法違反容疑で相次いでクラブを摘発してきた。利用者らの間で「規制は時代遅れだ」との声が高まり、法改正を求める署名運動にも発展。今年6月には法律が改正され、条文から「ダンス」の文言が削除された。

 パライソを営む田中雅史さん(47)も法改正運動に取り組んできた。

「ダンス営業の解禁を信じて頑張ってきたが、結局、法改正後も許可は下りそうにない。多くの人が楽しむ文化の場が、規制でなくなってしまうのは納得がいかない」

 実際、改正法が成立した際には「ダンス終夜営業OK」などと報じられた。全面的な「ダンス解禁」が実現するという印象を抱いた人も少なくない。

 だが、詳細な営業可能エリアは法律そのものでなく、政令に基づいて各地の条例で定められる。9月以降、警察庁や各地の警察が具体的な立地規制案を公表すると、ダンス界に激震が走った。風俗営業店などが密集する繁華街か、少数の居住者しかいない地域が主なエリアに想定され、パライソのようにそこからこぼれる店が続出したからだ。

 ダフト・パンクら海外の著名アーティストが出演してきた関西の老舗クラブも、営業可能エリアから漏れた。同店の関係者は言う。

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