安保法制が決まって以降、揺れる野党。民主党の迷走に作家の室井佑月氏は「あんたらいったいどうしたいの?」と呆れる

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 昨日(11月13日)、レギュラーで出ている「大竹まことゴールデンラジオ」に、共産党の志位委員長がゲストで来た。もちろん訊ねたことは、「国民連合政府」はどうなるのかだ。

 9月半ば、自公は審議を打ち切って、安保法案を強行採決させ可決した。

 国会審議を通じてどんどん違憲性が露になってゆき、説明すればするほど国民から「説明不足」といわれていたのに。

 権力の暴走をまざまざと見た。落胆した国民はたくさんいた。あたしもその一人だ。

 ただ、数の力で法案は通ってしまうと予想はしていた。問題はその後のこと。

 もう決まってしまったことだからといわんばかりに、安保法の違憲性や、なぜその法案が必要なのかという、自民党の苦しい言い訳の報道が極端に少なくなった。

 あんなにデタラメな法案が通り、それをデタラメとマスコミも批判しなくなれば、安倍自民に逆らっても無駄、という空気が巷に作られる。

 完全に空気が作られてしまえば、もう国民は誰も自分の意見をいえなくなってしまう。怖い世の中だ。

 そういうことを野党のみなさんはわかっているのか? 国会審議で頑張っていたけれど、法案可決後こそ、それ以上に頑張らなければいけないのに。たえずニュースになるような動きを見せていかなければ、国民は怒りを忘れてしまう。

 と、考えていたら、共産党が動いた。志位さんが「国民連合政府」を作ろうとほかの野党に呼びかけたのだ。

 
 戦争法廃止のため、安倍政権の暴走を止めるため、細かいことは置いといて、来年の参議院選挙に向け選挙協力しましょうよと。志位さんは、それが「国民的大義だ」といった。あたしもその通りだと思った。だって、選挙で勝たなきゃ、なにもはじまらないんだもん。

 だが、民主党の岡田代表は未だもってグズグズしている。今日(11月14日)の時事通信の記事によると、民主党の前原元外相がテレビに出て、執行部に解党を求めていきたいという旨の発言をしたんだとか。いろんな人がごっちゃになった民主党は、解党でもなんでもして、いちどすっきりしたほうがいいと思う。ま、この方は安保法の廃止にも消極的だし、この方が望む方向へ民主党が舵を切り出したら、あたしは応援しないけど。

 けど、仲間内からこういった発言があっても、岡田さんの腰は重いまま。共産党とは絶対に組めないという人たちを党から追い出すのか、「国民連合政府」を支持する人たちに出て行ってもらうのか。早いとこ決めないと、選挙の準備が不十分になる。また負ける。

 ラジオに出てもらった志位さんに、

「反安倍政権で負けつづけるのも疲れてきた」

 と陳情はしておいた。志位さんは苦笑いしておった。俺にいわれても、って感じよ。民主党、あんたらいったいどうしたいの?

週刊朝日  2015年12月4日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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