田原総一朗「IS問題の根源は侵略行為の責任を取らない欧米諸国だ」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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田原総一朗「IS問題の根源は侵略行為の責任を取らない欧米諸国だ」

連載「ギロン堂」

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パリで起きた同時多発テロ。フランスのオランド大統領が断言した「断固戦う」とはどういうことなのだろうか(※写真はイメージ)

パリで起きた同時多発テロ。フランスのオランド大統領が断言した「断固戦う」とはどういうことなのだろうか(※写真はイメージ)

 イラクのフセイン大統領は独裁者であった。だが、その独裁下でイラクは安定していたのだ。ブッシュ大統領のアメリカは、大量破壊兵器を隠し持っているとか、アルカイダと緊密な関係にあるとか、ありもしない理由をつけてフセイン大統領を潰した。そのためにイラクは大混乱し、混乱の中で、ISが生まれたのである。いわば、ISをつくったのはアメリカなのだ。

 アサド大統領が潰れれば、シリアはさらに混乱することになり、ISが事実上の権力を握る可能性だってある。

 話が脱線した。オランド大統領の要請で、オバマのアメリカとプーチンのロシアが協力する可能性はある。

 だが、私はイスラムの世界はアメリカ、ロシア、フランスといった大国に都合の良い戦略では決着しないのではないかととらえている。

 日本は太平洋戦争に敗れ、1928年のパリ不戦条約以後の戦争の責任を全面的に取らされた。そのため、シリアの空爆になど参加しない「平和国家」となった。だが、アメリカ、イギリス、フランス、ロシアなど戦勝国は、実は第1次世界大戦前のアフリカ、アジア、中米での数々の侵略行為の責任をまったく取っていないのだ。

 例えば英仏ロの3大国は1916年に「サイクス・ピコ協定」という密約を結び、中東地域の国境の「線引き」を勝手に定めてしまった。ISはそれに怒って、イスラムの独立の旗印を掲げているのである。

週刊朝日 2015年12月4日号


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田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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